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食の探偵団
vol.11 「食の探偵団(企業版)」レポート 2005.01  

とある企業から、社員研修として「食の探偵団」を行ってほしいという依頼が舞い込みました。レストラン、農作物の生産・加工・販売など、食関連の事業を展開している会社からのもので、近い将来、食育を事業の一つに加える予定で、現在、勉強・準備中とのことなのです。であればプログラムはどうしよう、と少し迷いましたが、「食の探偵団」ではおなじみのプログラムを行うことにしました。「食を楽しむ」「五感を使って味わい、自身の味の記憶を豊かにする」「味わいを表現する」などの探偵団の基本は、年齢や立場に関係ないものだと思っているからです。食を仕事としている方たちには、当たり前と思うようなことかもしれませんが、あらためて自分に問いかけてみる機会は意外と少ないものではないでしょうか。
オイルのテイスティング
(コーヒーカップに入っているのはオイルです)

色違いの皿を使った錯覚クイズ


今回食の探偵団を行った
会社(三重県)の牧場で
出会った豚さん。
サカイ優佳子さんの膝に
いきなりキスして、この笑顔!



見よ、この脚線美

 今回は、副団長の田平が、昨年11月に行ったこの「食の探偵団 企業版」をレポートします。

当日集まってくれたのは、各部門の若手の有志たちで平均年齢20歳代(?)の男女がおよそ40名、中にはシェフも。全員が、何か今後に役に立つものを得ようと、貪欲に積極的に取り組んでくれました。

  ■今回のプログラム■
※いつもと趣向を変えたのは、2の「オリジナルレシピの考案」と6の「音の影響」です。
切り方による味わいの差を確かめる
  そこで生産しているにんじんを使用。乱切り、拍子木、短冊、千六本、いちょう、などに切りわけて試食。歯ごたえ、瑞々しさ、甘みや苦味の感じ方など、自分の五感で確かめる。
にんじんを使ったオリジナルレシピを考える
オイルの正体をあてる
  今回は、オリーブオイル、グレープシード、くるみ、マスタード、玄米、えごま、ギー(水牛の乳から作られるバターのようなもの。インド料理でよく使われる)を用意しました。
赤、青、緑のさらにのったマヨネーズの味比べ 〜 錯覚クイズ
味覚のふるさとを探る

音(BGM)の影響

  BGMの音量を変えたり、音楽ではなく、騒音(今回は工事現場の音)を聞きながら食事をする。

3の正体あてクイズと4の錯覚クイズは、ここでもとても盛り上がりました。3のオイルの中には、難易度が高いと思われたマスタードやギーを入れていたのですが、動物性の匂い、バターに似た味、と香りや色、味の記憶を深く深くたどっていく内にギーまでも正解を導き出した方がいました。

マヨネーズについては、今回は、3色のお皿とも同じものをのせていました。最初のうちは、「赤が一番濃い味」「みどりはさっぱり」などの意見が飛び交い、すっかり皿の色にだまされ、メーカー名あてクイズといった様相にもなっていたのですが、そんな喧騒を破ったのは、じっくり目を閉じて味を確かめていたシェフの「全部同じマヨネーズ」というひとこと。さすがでした。

お互いに食経験に驚いたり共感したりして話が尽きなかったのは、味覚のふるさとを探るプログラム。おやつや給食、お母さんの味など、“食べ物”と“場面”と“自分の気持ち”が一緒になった興味深い話を交換しました。久しぶりに思い出した自分の記憶を懐かしむと同時に、同僚の仕事中とは違う一面を見ることもできたようです。(味覚のふるさとのプログラムについて、詳しくは「食育の現場からVol.8」をお読みください。)

最後は、探偵団初登場の音のプログラム。普通のボリュームで音楽が流れているときは、みんな、サラダの味について話し合ったり(最初に切ったにんじんをモロッコ風のサラダにし、試食していました)、会話が弾んでいましたが、大音量にしたとたん、パタッと消えてしまいました。また、工事現場の音を流してみると、こんどは、きょろきょろと落ち着かない人がみられるようになり、ほぼ全員が食べることも話すことも止めてしまいました。

巷のレストランや喫茶店などでは、BGMが当たり前のように流れています。でも、BGMは、何のためにあるのでしょうか。仲のよい友達同士で来ている人たちは、楽しい会話があればBGMは必要としていないかもしれない。一人で利用している人は、時折BGMに耳を傾けているかも。仲間や知人とともに来ていても、ちょっとした会話の隙間をBGMがうめてくれたり。人それぞれだと思います。せっかく店の雰囲気に合った曲を流しているのに、システムの不備なのか雑音が多くて耳障りに感じる、ということもあります。なにげなく流してしまっているBGM、時には、なしという選択肢もあるのではないでしょうか。

最後に、こんな質問を受けました。「オイルやマヨネーズのプログラムは、正解がありますが、味覚のふるさとや音のプログラムには、正解がありません。正解がないものについて、どのように受けてとめればいいのか、ちょっと戸惑っています。」というような内容でした。
味の違いがわかり、当てることができるって、すごいですよね。なぜ、そんなことができるのかというと、自分がいかに食の記憶をたくさん持っていて、その記憶をひっぱりだすことができるか、ではないかと思います。正解があるプログラムもないプログラムも、じつはその過程を重要視しています。食の記憶を自分自身の引き出しにつめていって、それを時には引き出してながめたりするうちに、食を楽しむ幅のようなものが広がっていくのではないかと思うのです。

2005年01月 田平恵美

食の探偵団・副団長
田平です!


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