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食の探偵団
vol.15  「食の探偵団」レポート  〜 北海道編 2007.07  
 「U−キッズ2007」というイベントの講師としてお招きいただき、旭川から車でおよそ2時間、日本海に面した増毛町に行ってきました。「U−キッズ2007」は、北海道文化放送が展開している食育キャンペーンの一環として行われたイベントで、45名の小学生が3泊4日で寝食をともにしながら様々な食体験をするというものです。

 講師陣は、フランス料理シェフの三國清三氏、食品添加物の功罪をわかりやすく書いた「食品の裏側」で知られる安部司氏、そして食の探偵団も2時間の講座を務めました。
 今回の会場となった増毛町は三國シェフのふるさとだそうで、3日目、4日目は三國食育塾が行われました。5味(甘味、酸味、塩味、苦味、旨味)を探しに野外へ出かけるフィールドワークや探した食材を使ってのオリジナルサラダ作り、三國シェフのレシピによる増毛ハンバーグ作りなど、ふるさとの味を知りつくしたシェフならではの内容です。私たちの出番は2日目だったので、残念ながら三國食育塾の様子を直に見ることはできませんでしたが、三國シェフのガイドで2日間も食体験ができるなんてうらやましい限りです。

▲三國シェフによる三國食育塾
 前後が逆になりましたが、1日目の夕方に開校式、2日目の午前中が阿部氏の講義、午後が食の探偵団の講座というスケジュールです。
 トップバッターの阿部氏の講義では、テーブルに食品添加物のはいったビンが60種類ほどならび、最初から子どもたちも興味津々。シロップをベースに、数種類の粉を混ぜ、色と香りをつけるとたちまちジュースができあがるのを目の前で見て、こどもたちは度肝を抜かれた様子でした。このジュース、シロップだけだと甘すぎてとても飲めるものではないのだそうです。でも、添加物が加えられることで甘すぎることもなく、メロン味、レモン味、オレンジ味などの無果汁ジュースへと変身するのです。その他、マツタケのお吸い物や豚骨スープなどが次々と作られ、さながら科学マジックショーといったところ。添加物をたくさん使った安い・便利・きれいな食品と、手間はかかっても添加物が少ない食品のどちらを選ぶのかは、君たち自身なんだよ!というメッセージがインパクトのある実験とともに語られた1時間でした。

▲手で触ってわかったことを、みんなに伝えているところ。みんなは、その言葉をきいて、箱の中の食べものがなんなのかを推理しています。
   さて、午後は食の探偵団。この時間は、自分の身体・感覚を意識的に使ってもらいました。鼻を使って匂いだけで食べものを当てる「匂いあてクイズ」、箱にはいった食べものを手触りだけで当てる「手触りクイズ」、ヨーグルトの甘味の正体を探るプログラム、食べもの(今回はとうもろこし)を五感を使ってじっくり観察し、地球のことをまったく知らない宇宙人にもわかるように、たくさんの言葉にしていく「宇宙人につたえてみよう」、色の異なる皿にのったマヨネーズの味を比べてみるプログラムなどを行いました。前日の開校式の時には、まだ緊張している子どももいましたが、一晩たってお互いにずいぶん仲良くなったようで、どのプログラムにもまじめに積極的に取り組んでくれました。
特に「宇宙人につたえてみよう」では、とうもろこしを探って出てきた言葉は、「皮をむくとビリビリという音がする」「茹でたものより生のほうが実の色が白っぽい」「粒の真ん中に少しかたくて白い部分がある」「甘い」など、ホワイトボードに書ききれないほど!試食用にゆでて切り分けたとうもろこしと元の姿がわかるようにと皮付きの生のものを用意したところ、生のトウモロコシの皮をむいてみたり、生のまま食べてみたり、私たちも気づかないようなところまで探っていました。甘みの正体あてでは、黒砂糖で甘味をつけたものについて、キャラメル、はちみつ、マヨネーズ、グレープフルーツなど幅広い答えが飛び出しました。  

▲3色のお皿にのったマヨネーズの味を比較中。実は、ぜんぶ同じマヨネーズ。
もちろん、正解をいいあてることは素晴らしいことなのですが、じっくり探ったからこそ黒砂糖の味わいの中に他の食べものと似ている部分を見つけ、たくさんの答えが出てきたのだと思います。大人がこのゲームをやると、間違ったら恥ずかしい…と沈黙してしまう人が必ずいるのですが、U−キッズの子どもたちは素直に感じたことを表現してくれました。その他のプログラムも積極的に取り組んでくれ、子どもたちがこの時間をいい雰囲気にしてくれたと感じています。最後に、今の世界で食を考えるときに避けては通れない問題である「食べものがどこから来るのか」「環境とのかかわりは」などについて触れ、2時間を終えました。

▲ある日のご飯です。味噌汁には甘えびの姿が。
   食育体験というからには4日間の食事も気になるところ。鮃のアラの煮付け、イカの煮物、貝を使った汁物、野菜の煮浸し、おひたしなど、素材の味を生かした料理が中心の献立となっていました。もちろん、地元の食材が中心で、魚介類は鮮度抜群、素朴ながらもとてもおいしいそう。素材をみんなに見せてからその場で茹でたエビやウニ汁なんていうメニューもありました。
 いろいろな角度から様々な食体験をしたU-キッズ、参加した子どもたちは、家に帰って家族にどんなお土産話をしたのでしょうか。たくさんの思い出とともに、食への興味が少しでも広がるきっかけになったのであればうれしく思います。
この模様は、UHB(北海道文化放送)で放送されます。
夏休み食育体験「U−キッズ」特別番組 
8月25日(土)14:30〜15:30放送予定
>UHB番組表はこちら
>北海道文化放送

2007年08月 
副団長 田平恵美

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