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食育に科学とロマンを

その3 :ダイエットの女神に死の影見たり  

夏が近づくと「ダイエット」の文字が街にあふれます。「夏までに〇kgやせる」と言う決心は聞き慣れたものです。「さぁ、そろそろ頑張ろう」と思っているお母さん、正しい方法でしかも健康的に標準体重を目指してエイエイオー!応援しています。でも「うちの子、最近太ってきたから一緒に」と子どもを道連れにするお母さん・・・自分だけ始めましょう。

病的な肥満を改善する目的でもない限り、成長期の子どもの体重を減らすなんてとてもおかしな話です。からだを作るために必要な材料が入ってこなければ、当然成長などはありえません。何より怖いのは、軽い気持ちで始めたダイエットが拒食となってしまう事。

以前は20歳前後の女性に多く見られた拒食でしたが、最近では低年齢化して小・中学生に増えており「思春期やせ症」と呼ばれています。拒食のきっかけは「デブ」「豚」とのからかいや人間関係のストレスなど実に様々です。しかし、発見が遅れると心身ともに障害が起こり、回復が遅れ、時には命を落とす、と言うのは皆同じです。

「思春期やせ症」は本当に恐ろしいものです。人間が栄養不足で飢餓になると、生きるために体温を逃がさないように毛深くなり、脈もゆっくりで冬眠中の動物みたいだ、と言われています。また、脳の萎縮、精神障害、骨粗しょう症、無月経、子宮・卵巣の発育障害、不妊、内臓障害や、時には突然死までも引き起こします。特に、不妊の問題は深刻です。これはおどかしではありません。そのくらい成長期のダイエットは危険がいっぱいなのです。もしも「減量が必要?」と思った時には、必ず専門家の意見を聞いてから始めてましょう。どう見てもやせているのに減量する子どもがいたら「見て見ぬふり」をせず、やさしく声をかけ医師に相談して下さい。

子どものこころとからだの成長を誰よりも願っているのはお母さんのはずです。大切な子どもに「太ったんじゃない」とか「お腹出てるわよ」などとダイエットの動機づけになるような言葉をいたずらに言わないで欲しいのです。微笑むダイエットの女神の背中には、いつでも死神が隠れているのですから。

土澤 明子 2004年6月

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