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食育に科学とロマンを

その27:もつべきものは「お友だち」

 
 

先日マイケル・ムーア監督の“シッコ(SICKO)”を観ました。この作品は、アメリカの医療問題を取り上げたもので、皮肉な笑いを誘い、後々まで考えさせられる作品です。(興味のある方は映画館へどうぞ)

今、考えさせられていることは2つ。1つは、アメリカの医療制度が理不尽だからこそ、多くのアメリカ国民は、様々な手段を使って自分で健康を守らざるを得なくなる。そのため、過剰ともいえる健康志向がはびこっている。その志向性が、日本にも現れているのではないか、ということ。

もう1つは、多くの疾病の要因となる肥満がなぜ減らないのか。減量によって疾病は明らかに改善するにもかかわらず、どうしてアメリカ人の60%以上が太りすぎで、30%以上が肥満というような状況にあるのか、ということ。

今年の7月、この疑問にヒントを与えてくれる研究結果が報告されました。

ハーバード大学などの研究チームが、有名な医学雑誌に「友人が肥満になると、自分も肥満になりやすい」という研究結果を発表しました。この研究は約1万2000人の成人を、32年間にわたって追跡調査し、BMI30以上の肥満の人を取り巻く人間関係と、相手のBMIなどの関係を統計学的に解析したものです。

結果を大雑把に説明すると、ある人物が約7.7s太ると、つられて友人は約2.3kg太るのが平均的で、お互いを親友と考えている場合や男性同士の場合、更に太りやすい傾向にあったというものです。友人が遠く離れていても結果に変化はなく、親、兄弟、配偶者よりも友人の影響の方が大きいとのことです。

といっても、「肥満した友人と別れる必要はない」という注意喚起のコメントがちゃんとついていますので、過体重の友人とも仲良くしてください。ひょっとすると、友人が減量すると、それにつられて自分も減量できるかもしれません。もつべきものは、お友だちです。

どこの国も、肥満問題の裏には多くの社会問題が隠されています。マイケル・ムーア監督には、肥満の解消がいかに難しいか、悩める世界の肥満者の思いを、いずれ作品にしてくれることを望みます。

BMI(Body Mass Index);身長からみた体重の割合を示す体格指数

土澤 明子 2007年10月

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