最近、「二度苦しむくらいなら、少々つらくてもいっぺんにやってしまいたい」と、食事療法と禁煙を同時に始める方が多くおられます。そして、禁煙と食事療法の二兎を追って、二兎を得てしまうので、ただただ感心するばかりです。
2006年から一定の要件を満たした禁煙希望者には、禁煙治療が保険適用されるようになりました。禁煙治療は、医師により「ニコチン依存症」と診断された場合、ニコチン置換療法のニチコンパッチやニコチンガムの禁煙補助剤が処方されています。ニコチンパッチは、タバコを吸う代わりに皮膚からニコチンを吸収させることで、禁煙時のイライラなどのつらさを軽減しようとする貼り薬です。そして今年の5月、このニコチンパッチはニコチンガムと同様、一般用医薬品として全国の薬局、薬店で、手に入れることが可能になりました。
また、時を同じく、チャンピックスという経口禁煙補助薬が発売されました。チャンピックスは、脳の中のニコチン受容体にニコチンの代わりにくっついて、タバコが欲しいという気持ちを軽減させ、喫煙による満足感を抑えるという薬です。タバコの代わりにニコチンを補うニコチンパッチと違い、ニコチンを含まない製剤です。
このように現在医療保険を使った禁煙治療は、「ニコチンパッチ」、「ニコチンガム」、「ニコチンを含まない飲み薬」の3つから選ぶことができます。治療薬の選択肢が増えたことで、ニコチンパッチを貼ると皮膚がかぶれてしまう人なども、禁煙治療に取り組めるようになりました。
喫煙者の多くが「タバコはからだに悪いから止めたいと思うんです、でもやめられないです」、「タバコが1000円なら吸わないのに・・・」と、切実な思いを伝えてくれます。風邪などで高い熱を出した時、根性や意志で熱が下げられないように、タバコを自力でやめられないのは、根性なしでも意志が弱いからでもありません。禁煙治療に対するやる気はもちろん必要ですが、ニコチン依存症という病気なのですから、気軽に専門家に相談し、自分にあった方法で禁煙治療を始めることが成功の秘訣だと思います。
禁煙の参考HPはこちら → http://sugu-kinen.jp/
土澤 明子 2008年9月