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食育に科学とロマンを

その39:“食べもの”が“ひと”を結ぶ

 
 
「玄米せんせいの弁当箱1」
「玄米せんせいの弁当箱2」

魚戸おさむ著 北原雅紀脚本 

玄米せんせいの弁当箱」というマンガと出合いました。
一読すると熱血学園ドラマのような印象を受けますが、食文化史や料理の知恵と工夫などが学べます。そして何よりも、人と人とを繋ぐ食べ物の有り様について深く考えさせられる内容です。なかでも、玄米せんせいの教え子の高円寺晴彦くんが、食べ物を介して人と人とを繋いでいくお話にこころが奪われました。

さて、この高円寺くんのお母さんは栄養士で多忙を極める食育評論家です。迫力ある熱い論説で現代の飽食や崩食を嘆き、「家族の団欒は風前の灯火といえるでしょう。あなたの食卓は大丈夫ですか?」と、聴衆に問います。「失われた団欒」という本も出しています。
ところが、社会的役割をこなすのに大忙しで、実は自分の家の団欒こそが失われているのです。いえいえ、団欒どころか食事内容までもが崩壊していて、まさに“崩食”状態。家族のこころはバラバラで、繋がりを失いそうです。
しかし、高円寺くんは玄米せんせいの影響を受けながら、荒むことなく高円寺家の食卓を取り戻す努力を始めます。その直向きな姿勢は兄弟に伝わり、バラバラだった家族がつながっていきます。また、この玄米せんせいの直向きさは、高円寺くんだけでなく、へその曲がった若者や頑固な大人たちのこころにも響いていきます。

ところで、玄米せんせいは「食文化を知る事は、それぞれの食べ物にまつわる物語を食べるという事なんだ」と言っています。
栄養相談にいらした方々のお話を伺う事は、その方が培った食文化を知る事です。それはまた、来談者の食べ物にまつわる物語を知る事でもあります。この物語をじっくり聴いていると、来談者なりの食べ物との“かかわり”や、食べ物を介した人との“かかわり”が見えてきます。この“かかわり”について話し合っていくと、病気を招いた食べ方のクセやズレがわかってくるのです。食べ物が結んだ人とのかかわり方を見つめ直すと、食生活が調整されてくるようです。

土澤 明子 2008年10月

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