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食育に科学とロマンを

その40:知らずに仏にならないで

 
 

盆暮れ、正月、歓送迎会、人が集うところにお酒あり。つい飲み過ぎたり、食べ過ぎたりしてしまうこと、誰にでもあるでしょう。そして、二日酔いの予防と対処に、サプリメントや健康ドリンクに救いを求めることもあるでしょう。けれども、人によっては、極めて慎重にサプリメントや健康ドリンクを選択しなければならないのです。

薬害C型肝炎の患者さんや感染者の方々が、国に救済を求める姿には胸が痛みました。栄養相談の来談者にもC型慢性肝炎の方がおられ、直向きに健康づくりしておられます。そして、「お酒は肝臓に悪いから普段は飲みませんが、盆暮れ、正月くらいは一献かたむけるので、肝臓にいいウコンをとります」とか「宴会1週間前からしじみのみそ汁を朝晩飲んで、しじみエキスも摂っています」など、ご自分で考えた肝臓への労りを耳にします。そんな健気な言葉を耳にした瞬間、実は私の血の気は引いています。

C型慢性肝炎に対して、近頃は鉄制限食が有効であると考えられています。それは、肝臓には鉄を蓄えるという大切な働きがありますが、過剰な鉄は毒性の強い活性酸素をつくり、肝臓の細胞を傷つけたり、壊したりしていきます。すると肝臓は、繊維化を起こし、肝硬変、肝がんに進行してしまいます。また、原因はよくわかっていませんが、C型慢性肝炎になると鉄分が溜まりやすかったり、鉄による障害を受けやすくなったりするようです。そのため、体内から血液を抜き、からだに溜まった鉄を取り除く瀉血療法という治療法が行われる場合もあります。

つまり、肝臓によいと思って摂取している健康食品やサプリメントに、鉄分が多く含まれていた場合、かえって肝臓の炎症を悪化させてしまうということです。これは、知らぬが仏ですまされませんから、サプリメントや健康食品などを利用している方や、利用しようとしている方は必ず医師に相談してください。そうでないと、知らぬ間に仏の道を歩んでしまいます。どうか今一度ご確認を!

土澤 明子 2008年11月

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