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食育に科学とロマンを

その42:お腹じゃないよ、台所だよ

 
 

近頃「オリーブオイルにした方がいいですか」、という質問が増えてきました。円高気流にのって、オリーブオイルの買いだめを考えているのでは、と心配になっています。

オリーブオイルには、悪玉と言われるLDLコレステロールを減らすオレイン酸が多く含まれています。このオレイン酸は、酸化されにくい性質をもつため、血管が硬く、厚く、狭くなる動脈硬化を防ぎ、心臓の病気を予防する効果があるとされています。

オリーブオイルの効果が話題になったのは、オリーブオイルをふんだんに使う地中海付近で、心臓の病気の死亡率が低いという研究結果や、心筋梗塞の再発率はフランスの普通の食事より地中海食の方が低かった、という報告後のようです。いつの間にか、オリーブオイル=地中海食=心臓病予防というイメージがつくられたように思います。

確かに、オリーブオイルをたくさん摂取する地方で、心筋梗塞の発症率が少ないということはわかっています。けれども、私たち日本人がオリーブオイルを積極的に摂取すれば、心臓病が防げるとは言い切れないのです。

なぜならば、オリーブオイルを使う地中海付近の食事は、LDLコレステロールの酸化などを防ぐ抗酸化物質の多いトマトがたくさん食べられています。また、葉酸が多く含まれる野菜や果物、豆類も豊富に摂取されるので、動脈硬化の危険因子とされるホモシステインの血中濃度を正常にしていると考えられています。さらに、善玉と言われるHDLコレステロールを増やしたり、血液を固まりにくくするアルコールの摂取量も多めだったりと、オリーブオイル以外にも心筋梗塞の予防に働く要素がいくつもあるからです。

つまり、心筋梗塞を予防したのは、オリーブオイルを使うためなのか、トマトを食べるからなのか、野菜や果物、豆類なのか、アルコールなのか、はたまたこれらいくつもが重なり合って得られた結果なのかも知れないのです。そのため、心筋梗塞を予防したのはオリーブオイルだ、と言い切れないことが問題にされています。

ですから、オリーブオイルといえども油は油。たくさん使えばエネルギーオーバーになり、お腹にたまります。買いだめは生活の知恵ですが、お腹へのため込みにご注意を。

土澤 明子 2009年1月

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