2月の初旬から飛び始めたスギ花粉、未だ猛威を振るっているように思います。国民の5〜6人に1人が花粉症といわれ、国が積極的に取り組む病気の1つです。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状は、医師による薬物療法や手術療法などで軽減されます。
また、アレルギーの原因物質である花粉を、少しずつ体内に入れて慣れさせ、アレルギー反応を抑えることを目的とした減感作療法という治療法もあります。もちろんこれも、熟練した医師のもとでアナフィラキシーショック(*1)を引き起こさないよう慎重に行われています。ところが、医師のもとで行われる減感作療法ではない、減感作療法の効果をうたう花粉加工食品を食べたことで健康被害を起した事例があります。
平成19年2月厚生労働省と和歌山県は、スギ花粉症によいとの暗示をした花粉加工食品を飲用した40代女性が、アナフィラキシーショックで意識不明になり入院した、という情報を公表しました。
スギ花粉症の人がスギ花粉を含む食品を摂ると、花粉症の症状が悪くなったり、血圧が下がったり、呼吸困難になったりと、重いアレルギー症状を起こす可能性があります。また、アレルギーは、少しのアレルギー物質によっても発症したり、以前は問題なかった食品でもその時の体調によって起こったりすることがあるので、スギ花粉症の人がスギ花粉を含む食品を摂取することは、決して安全とはいえないのです。
もちろん安全に花粉症の症状を軽減する商品も多くありますが、症状に悩まされたら、病院で治療を受けることをおすすめします。眠気が少なく1日1回の服用でよい薬、鼻水をおさえる点鼻薬、目のかゆみを鎮める目薬などもあります。現在は、花粉が本格的に飛び始める前から服薬し、症状の出やすさを抑える「初期治療」も行われています。来年は早めに受診し、今年よりも快適なシーズンを送ってください。
(*1)アナフィラキシーショック
全身に過剰なアレルギー反応が起こって急激に血圧が下がり、血液循環がうまくいかなくなった生命に危険が及んだ状態