Queen Home_edu
TOP PAGE
レシピ
コラム
レポート
食育BOOK
おいしいBlog
メールマガジン
プロフィール
リンク
コラム
TOP > コラム > 食育に科学とロマンを
食育に科学とロマンを

その50:「怠け病」と呼ばれて・・・

 
 
食育コラム:食育に科学とロマンを

「夏が終わったら疲れがドッと出たみたい。全身がむくんでいるのは、便秘と太ったせいだと思うから食事のことを聞きたい」
と、お見えなった50代の女性Aさん。 食生活状況などを伺ってみると・・・。

「とにかくだるくて思うように動けない、食事も作る気になれない。一日中ゴロゴロしてるから夫に怠け病と嫌味を言われてます。でも怠けてなんていません。動けないんです。食事は、お惣菜とか、お弁当とか、菓子パンとか簡単なものを食べてます。でも、ご飯は太るでしょ、だからご飯を食べずに昆布と糸寒天を混ぜてドンブリ一杯食べるんですよ。昆布のポン酢で食べるとおいしいですよ。お腹が空いたら根昆布か、昆布を一晩漬けておいた水を飲むとお腹が膨れるんです」と仰います。

確かに体重は多いのですが、どうにもならない倦怠感は肥満だけが原因とは思えません。Aさんの訴える症状と昆布の大量摂取を医師に伝え、甲状腺の機能を検査することになりました。するとその結果、甲状腺の機能が低下していることがわかりました。

甲状腺機能が低下する慢性甲状腺炎(橋本病)では、甲状腺ホルモンの分泌が少なくなり、代謝が悪くなっています。そのため、太りやすい、浮腫、手足の冷え、夏でも汗をかかないなどの症状がみられます。また、腸の働きが低下することで便秘の傾向が出てきます。もちろん、無気力、疲れやすい、だるい、といった症状も現れます。

ところで、甲状腺機能が低下した状態で、海藻、なかでも昆布を大量に食べ、ヨードが過剰に摂取された場合、甲状腺機能がより低下してしまうことがあるといわれています。通常食べる程度の摂取ならば問題ありませんが、Aさんのようにご飯の代わりにドンブリ一杯から始まる昆布づくしが適量とは言えません。

Aさんが便秘と肥満の解消を目的に、エネルギーが低く、食物繊維の多い昆布を選んだことは間違いではありません。そして、怠けるどころか、何とかして改善しようと健康に気をつかっていました。けれども、何事も度を越してしまうと毒になる、という大事なことを、すっかり忘れてしまっていたようです。

土澤 明子 2009年9月

TOP PAGE
(c)Queen Inc. All Rights Reserved.