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中医学的 子供の食養生

@ 中医学からみた子供のからだ

 





 
 
 

1.こどもを漢方的にとらえると・・・・?
大人の身体とこどものからだの違いは単に身体の大きさだけではありません。常に発育成長していくエネルギーを持った子供のからだには、は大人と違う特徴があります。
昔の中国の小児科名医は、子供の生理特徴を次のような言葉で表しています。

(1)臓腑嬌嫩・形気未充
臓腑嬌嫩(ぞうふきょうどん)というのは、五臓六腑がとてもか弱く、形気未充(けいきみじゅう)その見た目も機能も未熟であるということです。五臓六腑の中でも、特に肺、脾、の働きが未熟であることが、重視されます。
肺は五臓の中で一番上の位置に有る臓で、一番身体の外側に近い臓です。一番外側にあるので、すぐに外界の影響を受けます。中医学的に見たとき、肺の一番大切な働きは呼吸です。実は、呼吸以外にも、栄養物質を、全身に振りまく作用や、外邪から身を守る「衛気」と言う免疫力のような気を体表にまで行き渡らせる働きも有ります。

中医学では、風邪は体表から、風邪(ふうじゃ)という邪気が侵入してしまうことにより発病すると考えられています。子供の肺の気がまだ未成熟であるため、この風邪の邪気を入れないようにする、「衛気」のバリアが不足します。子供がすぐに風邪を引くのはそのためと考えられています。
赤ちゃんはお父さん、お母さんから「先天の精」と言う名前の栄養物質をもらって生まれてきます。生まれつきの体質はこの先天の精によるところが多いのですが、後天的には五臓の「脾」によって飲食物を消化して、作り出す「後天の精」によって「精」の補充をします。このように「脾」は、脾臓自体を指すのではなく、むしろ消化器系統全般の働きを意味します。その働きの中で一番重要なものは、「運化」と言う働きです。
「運化」とは、飲食物を身体で必要な物質に変化させ、それを全身に運搬する働きです。子供は成長のために沢山のエネルギーを必要としていますが、消化能力が未熟なため、良く胃腸のトラブルを起こしやすくなっています。

このように中医学でいう五臓と現代医学が指す内臓とは重複する部分も有りますが、五臓のほうがもっと広い意味を持ちます。

(2)生機蓬勃(せいきほうぼつ)・発育迅速(はついくじんそく)
二つめの特徴としては、体格も知力も臓腑の機能も、全てとても速いスピードで成長していくということです。年が小さければ小さいほどそのスピードも速いと考えられています。生まれたばかりの赤ちゃんは陽がとても旺盛です。なぜなら生まれたばかりの赤ちゃんにはこの先天の精が沢山詰まっていて、丁度、植物で言えば発芽したばかりの新芽のようです。この成長する力は「陽」のほうがからだのなかで旺盛であるからです。

「子供の病気」の特徴
1)発病容易・伝変迅速
病気にかかりやすく、また、病気の進行も、回復も大人より早いという特徴があります。こどもは、大人よりも当然、抵抗力が低く、また、洋服や空調などで体温の変化を自分でコントロール出来ません。ですから、大人が注意してあげないと寒さ、暑さ、風、乾燥、湿気、などにより、風邪、咳、肺炎などかかりやすくなります。また、
子供は食べる量をコントロール出来ないので、食べ過ぎにより、嘔吐、下痢などがおきやすくなります。
また、臓気清霊(ぞうきせいれい)と言う言葉もあります。これは、子供の五臓はまだ出来たてでフレッシュであり、その「気」がよどんでおらず、きれいなため、正しく治療をすれば、薬への反応も良く、大人より、早く治るという特徴も有ります。

言い換えれば、小児は成人と比べると、成熟していないための構造的な弱さがあるけれども、その反面、成長発育するための旺盛な生命力も持っているということです。
子供はウイルスなどから身を守るためのバリアが薄いので、邪気を受けると容易に身体の奥まで邪気が入り込んでしまいます。そうなると、熱がなかなか下がらないため、身体の中の陰陽バランスを崩し、生命の危険を伴うところにまでなりやすいので注意が必要です。子供のからだはエネルギーに満ちていて、成長しようとする力が強く大人より回復力が早いと言われています。また、その病の原因が単純なため、治療もしやすいのです。

子供は正しく治療すれば大人よりも早く治ります。もし、命に関わるところまで病気が悪化しても、急いで正しく処置すれば、回復するものです。
中医学的に考えたとき、大人の場合は、病気の原因はとても複雑になります。
ストレスや、過労、食生活の乱れなどで臓腑は子供のものより老化しています。
逆に子供であっても、大人のようにストレスを常に強く与えられ続けたり、食生活が乱れたりすれば、その治療も大人と同様、やや複雑になります。そうならないように、大人が見守ってあげることが大切だと思います。

 
2006年5月 新井 友加里

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