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■リノール酸

「バターとマーガリンどっちがいいですか」

これは意外と多い質問です。そして、動物性脂肪のバターはコレステロールが多くて悪いもの、植物性脂肪のマーガリンはリノール酸が多くて健康的、と考えている方も少なくありません。

リノール酸は紅花油や菜種油、コーン油などに豊富に含まれている脂肪酸で、生きるために欠かせない脂肪酸です。また、体内で合成できないため食品から摂取しなければなりませんが、積極的に摂取しなくても普通の食事で十分とれるので、不足の心配はいりません

そんなリノール酸が評判になったのは、1950年代にアメリカで「動物性脂肪に多い飽和脂肪酸はコレステロールを増やし、植物性脂肪の不飽和脂肪酸、とくにリノール酸の油がコレステロールを下げる働きがある」と発表されてからです。コレステロール値が低くなれば、血管が硬く、厚く、狭くなる動脈硬化の進行が抑えられ、心臓病を予防できるのですから“よい”と評判になるのもわかります。そして、動物性のバターより植物性のマーガリンが勧められ、様々な食品のパッケージに「リノール酸」の文字が表示されるようになりました。

ところがその後、リノール酸はコレステロールを肝臓に閉じ込め、1週間程度の短い期間なら血中のコレステロール量を減らすけれども、長期的にみるとコレステロールを減らす作用はないと発表されました。現在では、過剰なコレステロールを回収して肝臓に持ち帰る善玉のHDLコレステロールまでも一緒に閉じ込めてしまうので、リノール酸の過剰摂取はHDLコレステロールを減らすと考えられています。またリノール酸のとり過ぎが、がんやアレルギーを引き起こしている可能性があるといわれています。

このように、今“よい”と考えられていることがひっくり返ることがあります。このことを頭の隅に置いて、“よい”というものに過剰な期待を寄せて摂取し過ぎないようにすることが健康の秘訣です。

さて、「マーガリンとバターのどちらがいいのか」という質問に対する回答ですが、私は「お好みのものを適量どうぞ」と答えています。


土澤 明子
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