私たちは誰でも年をとり、誰でも加齢による老化が起ります。老化は正常なことですが、もとには戻れない生物学的変化なので、加齢によって起こる老化の原因を抑えたり、老化現象を予防したりして、生活の質(quality
of life;QOL)を向上させようとするアンチエイジングが注目されるのも頷けます。このアンチエイジングは、理論的、実践的科学によって老化を予防するだけでなく、がんや生活習慣病などにならず、健康に寿命をまっとうすることも目指しています。
ところが、老化の概念や定義は定まっていません。ですから、色々な老化現象もって老化としようという考え方を基盤に、アンチエイジングはすすめられています。老化現象には、免疫力や代謝の低下、血管が硬く、厚く、狭くなる動脈硬化などがあります。こうした、老化現象を促進させ、健康状態を悪くする原因に、フリーラジカル(活性酸素)による酸化ストレス、遺伝的因子、成長ホルモンや性ホルモンなどのホルモン分泌の低下、免疫力の低下、内臓脂肪型肥満などが挙げられています。
なかでも、フリーラジカルが大きく老化に関わっていることが解っています。フリーラジカルは毒性が強く、からだを傷つけ、あらゆる器官を酸化し、破壊(サビる)するといわれています。といっても、私たちのからだには、フリーラジカルに対する防御システムが備わっており、ご存知の「抗酸化物質」がフリーラジカルを消去する作用をもっています。
抗酸化物質には、体内でつくられる内因性抗酸化物質と体外からとり入れる外因性抗酸化物質がありますが、外因性抗酸化物質は、植物に含まれるビタミンや色素、香り、アクなどがあります。近年、これらの成分を含んだサプリメントや食品などがたくさん販売され、多くの人が利用しているようです。
しかし、アンチエイジングのためといって、ある特定のものを過剰に摂取すると、栄養素のバランスが崩れたり、1日の摂取エネルギー量が増えたりして、逆に老化を加速させてしまう心配もあります。ですから、アンチエイジングを実践するにあたっては、医師や栄養士などに相談し、自分にあった方法を一緒に見つけてもらうとよいでしょう。