友人が
「人参は、グリセミック・インデックス(以下GI)が高いからいらない。GIが高いと太るじゃない」
と、色鮮やかな京人参の炊きものを残しました。
あらまあ、たった一口の人参で太るなんて驚きです。
GIは、食物繊維を摂ると食後血糖の上昇が抑えられるという研究から出てきた考えで、1982年にカナダのトロント大学のデビットジェンキンス博士らが発表しました。GIの測定には国際的に標準化されたルールがあり、ブドウ糖やパンを摂取した後の血糖上昇率を100として、いろいろな食品を同じ量で摂取した時の血糖の上昇率をGI値として表わしています。つまりGI値は、ある食品が血糖値をどれくらい上げるかを示しているのです。日本語では、食後血糖上昇指数と訳されています。
GI値の数値は、高ければ血糖を上昇させやすい食品で、低ければ血糖値を上昇させにくい食品となります。日本では、ブドウ糖やパンよりも日常口にするご飯を基準食としたGI値の算定や、GI値を上昇させる因子と低下させる因子についての研究が行われています。
GI値の高いものには、ブドウ糖と砂糖はもちろんのこと、ご飯、パン、ポテト、かぼちゃなどがあります。また、同じ食材でも調理方法によってGI値が異なる場合もあります。たとえば、ポテトは食べる量が同じでも、皮付きよりも皮むき、皮むきよりもマッシュの方がGI値は高くなります。なぜかというと、消化されやすい調理方法ほど、小腸での糖の吸収が速くなるからです。
また、GI値の低いものとして、牛乳やヨーグルト、ピーナッツが挙げられています。ここで忘れてならないのが、自分が必要としているエネルギーよりも多く食べれば、“太る”という原則です。GI値の低い食品だからといってたくさん食べれば、エネルギーの過剰摂取となり“太る”のです。その反対に、1日の摂取エネルギーが過剰にならなけば、GI値の高い人参を食べても太りません。ですから、一口の人参を食べると“太る”というのは思い込みだと思います。