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食育に科学とロマンを
「食の探偵団」レポート vol.1 2003.12.13 横浜市子供会
手触りクイズ
香りあてクイズ
■餃子作りに挑戦■
 2003年12月13日土曜日、横浜市のU子供会の活動で、「食の探偵団」を行ってきました。幼稚園年長から5年生まで、総勢30人余の子どもたちが参加してくれました。

 今回は、料理をすることと他の教科の勉強はつながっているということを考えるきっかけになるように意識してプログラムを組んでみました。

 はじめはインドのカッテージチーズ、パニールの手作りから。牛乳を沸騰させてそこにレモン汁を入れるとあら不思議。分離しはじめます。これをペーパータオルで濾すとチーズと半透明の液体に分かれます。なんだか理科の実験のよう。五感を使ってじっくり観察してから食べた後、インドではどうやって食べるのかについてもお話しました。外国の文化の勉強です。

 定番の手触りクイズはカブと里芋。カブはほとんど全員が手で触るだけでいいあてることができましたが、里芋は「じゃがいも」「さつまいも」といった答えも多くみられました。香りあてクイズは、柚子、たくあん、それに子どもたちが大好きなココア。みんなとても真剣です。

 次はメインイベントの餃子づくり。机を並べて子どもたちみんなで粉から餃子を作ります。小さい子どもたちが多かったので混乱を避けるため、具はお手伝いのお母さんたちにお願いしてあらかじめ5種類作っておきました。白菜と豚肉、レンコンと牛肉、トマトと前に作ったパニールとバジル、セロリと炒り卵に花椒(中国山椒)で香りをつけたもの、それに黒砂糖と小麦粉を混ぜたもの(熱が加わると溶けてあんのようになります)。小麦粉を練るだけでも子どもたちには大仕事。それから「一人1種類2個ずつの餃子を作るには皮をいくつにわけていったらいいでしょう?」「どうやって切っていけばいいでしょう?」と今度はまるで算数の時間。数に切り分けたら各自が持参した麺棒で皮を伸ばします。これがまたなかなか大変、みんな粉だらけです。

 どうにか包み終わった餃子を蒸している間に、味噌汁を試食します。この味噌汁、通常の3%分の味噌しかといていない薄いもの。なぜこれを試食してもらったかというと、日本の食糧自給率を意識してもらいたかったから。低学年の子たちには難しいかもしれないけれど話してみることにしました。「国産でまかなえる大豆は必要な分のたった3%。もし他の国が日本に食べ物を売ってくれなくなったら私たちはこんな薄い味噌汁しか飲めなくなってしまうんだよ。」後で5年生の男の子のお母さんからメールが来て、「今日息子は日本の食糧自給率の推移を調べてます」とのこと。そこまでしてくれたら感激!です。

 蒸し上がった餃子とご飯、たくあんに、今度はちゃんと味噌をといた味噌汁で昼ご飯。子どもたちはいろいろな餃子にチャンレンジして食べてくれました。

 実は今回、私ははじめて「食の探偵団」の後で落ち込んでしまったのです。他の教科とのつながりも意識してほしい、粉を手で扱う楽しさにも触れてほしい、餃子の具だって色々工夫できると知ってほしい、外国の食べ物にも挑戦してほしい、そんな色々な思いがあって、少しプログラムを詰め込み過ぎてしまいました。とくに人数も多い上に小さい子が多く、部屋のつくりの関係で何かをするたびに子どもたちと用具を移動しなければならない。さらに欲張って小さなせいろで一人分ずつ蒸してあげたい、終わったらせいろはおみやげに、な〜んてことまで考えていた結果どうなったかというと、子どもたちにしっかり目をむけて皆の様子を観察しながら進める気持ちの余裕がもてなくなってしまったのです。おまけにお手伝いのお母さんたちは飲まず食わずでずっと立ち詰め。具の下準備にはじまり、食器や鍋を洗い、後片付けにもおおわらわ。場所をあけわたさなければならない時間も迫っている。普段は皿洗いも子どもたちと一緒にするのに、お母さんたちにも座って試食してもらいたかったのに、と思うと文句ひとつ言わずに働いてくれたお母さんたちには申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

 子ども相手のこと、毎回顔ぶれも年齢構成も違い、会場も違います。しっかり準備したつもりでもハプニングや手違いもあります。毎回毎回が真剣勝負、毎回毎回が私にとっても勉強。「餃子の皮、絶対家で作るからね!」とおみやげのせいろを抱えて帰っていった子どもたちの姿から元気をもらって、「今度はもっと子どもたちとじっくり向き合えるようにがんばっていこう」と決意を新たにしたのでした。

2003年12月 サカイ優佳子
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