中国医学の陰陽五行論をもとにした食養生では、食べものを「寒・涼・平・温・熱」の五つの性質(五性)と、「酸・苦・甘・辛・鹹」の五つ(五味)に分類するとお話しました。今回は、五性の「寒」、五味の「苦」に属する菊の花です。
私たちが食卓で菊の花を目にするのは、刺身のツマとして彩りをよくしているその姿です。見栄えのためだけでなく、食べるために添えられてきたはずの菊の花ですが、最後までお皿に残され、ほとんど口にすることはありません。しかし中国では、古くから不老長寿の花と言われ、一年中使えるように乾燥させ、漢方薬として使われてきました。
五味の「苦」に属する菊の花は、からだの余分な湿気や熱をとり、乾燥させる作用があるとされています。血行をよくし、疲労回復にも役立つほか、刺身のツマとして添えられる所以の、毒を排出する働きもあると考えられています。また、頭痛やめまい、眼精疲労の改善、イライラした気持ちを落ち着かせる作用などもあると言われています。