2回目は「SUSHIから考える」と題し、寿司を通して海外とのつながり、魚の生態、漁場はどうなっているのか、などをグラフや資料、地図帳を使いながら追っていきました。たとえば、「寿司ネタはどこからきているのだろうか?」。タコの主要輸入国はモーリタニアで、アフリカ大陸の大西洋側に位置している(この国がどこにあるのか、私も少し前まで知りませんでした)、鮭の輸入国のチリは、南米大陸の太平洋側にある細長い国、ということなどを調べながら(これは地理の勉強でもあります)、「なぜ、そんなに遠くから運んでくるのか」ということをみんなで考えました。
みんなからは「足りないから」「お父さんが猟師をしていて、獲れる場所が変わってきて遠くまで行かなければならなくなったって言ってた」「魚をあまり食べない国が輸出する」「外国のもののほうが安いからって聞いたことがある」「みんなが欲しがるから」など、思わずうなずいてしまう意見が積極的に出てきました。
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冒頭にあげたのは、3回目の授業の中で食料自給率をとりあげたときのものです。「食料自給率が低いといわれても、輸入すればいいのだから何を騒ぐのかわからない」と思っている人は大人でも多いようです。でも、こちらの思惑通りにいつでも欲しいだけ輸入ができるものなのかを知っておく必要があると思います。
小麦の日本の自給率は10%程度。国産の小麦しか手に入らないと仮定すると、うどん、パン、クッキーやケーキがめったに食べられなくなるだけではなく、小麦を原料とする醤油もほとんどなくなってしまいます。実際に、ここ2年ほど小麦の輸入先であるオーストラリアは干ばつに見舞われて不作、アメリカやカナダではガソリンに代わる燃料を作るために小麦からトウモロコシへと作物を変える農家が増えていることなどにより、日本では小麦の価格が上がっています。授業では、こうした現状を紹介しながら自給率の低さの意味について考えていきました。
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▲第一回目の五感の授業の様子。-2・3- |
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それにしても、子どもたちが真剣に受けとめて、想像以上にたくさんの意見を出してくれたことに驚かされました。実は、この2回の授業の中で伝えたいことが盛りだくさんで、内容も5年生には少し難しいのでは、という不安を持っていたのです。「5年生を侮るなかれ。」です。みんなの雰囲気の良さに助けられ、私たちも楽しい気分になって授業を行うことができました。
食べものと世界のつながりを考えていくと、難しい問題もたくさんあります。が、あれもダメこれもダメと考えるのではなく、広い視野を持って考えていってくれたらいいな、と思います。授業の締めくくりとして、「これからもおいしく楽しい食事をするために、何ができると思いますか」という問いかけをしました。最後に、この問いに対する子供たちの答えを紹介します。
「好き嫌いをなくして、無駄をなくす」
「食べものを残さない」
「好きなものだけ食べない」
「電気を消すようにしたり、無駄をなくして、地球の温暖化がすすまないようにする」
「食べられない物はよくばらない。」
「のこしたり、かいすぎたりしないで食べ物をすてない。」
「フードリサイクルもっと広がるといいな〜!」
「地球のコトやごはんをたべられない人のことを考えていきたいと思いました。」
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