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食の探偵団
vol.16  「食の探偵団」レポート  〜 北海道編 2008.01  
「外国から食べものを輸入できなくなるとしたら、その理由としてどんなことが考えられますか?」
  「人が増えて、外国にまわすほどない」
「他の国がいい条件で買ってくれたら、そっちにまわす」
「仲が悪い」
「お金がなくて買えない」
「地球温暖化で、とれなくなった」
 
 これは、小学校の授業でのひとコマです。
北海道文化放送が取り組んでいる食育キャンペーンのひとつとしてお招きいただき、食の探偵団は昨年11月から12月にかけて、札幌の小学校で食育の授業を行ってきました。5年生の総合学習の時間として2時限を3回、計6時間を受け持ちました。

▲第一回目の五感の授業の様子。-1-
   今回は連続3回という時間をいただいたので、食の探偵団の定番「五感の授業」だけでなく、食べものと社会がどう関わっているのかについての授業を行うことができました。

 「私たちが口にしている食べものは、どこからきているのか」から「日本人の食生活の変化」「私たちがほしいだけ食べるために何がおきているのか」「食べ残しはどうなっているのか」「食料自給率って何?」「フードマイルって何?」まで、当たり前のように食卓やスーパーに並んでいるたくさんの食べもののために起きていること、知っていてもらいたいことを2回目、3回目の授業に盛り込みました。
 2回目は「SUSHIから考える」と題し、寿司を通して海外とのつながり、魚の生態、漁場はどうなっているのか、などをグラフや資料、地図帳を使いながら追っていきました。たとえば、「寿司ネタはどこからきているのだろうか?」。タコの主要輸入国はモーリタニアで、アフリカ大陸の大西洋側に位置している(この国がどこにあるのか、私も少し前まで知りませんでした)、鮭の輸入国のチリは、南米大陸の太平洋側にある細長い国、ということなどを調べながら(これは地理の勉強でもあります)、「なぜ、そんなに遠くから運んでくるのか」ということをみんなで考えました。
 
 みんなからは「足りないから」「お父さんが猟師をしていて、獲れる場所が変わってきて遠くまで行かなければならなくなったって言ってた」「魚をあまり食べない国が輸出する」「外国のもののほうが安いからって聞いたことがある」「みんなが欲しがるから」など、思わずうなずいてしまう意見が積極的に出てきました。
 冒頭にあげたのは、3回目の授業の中で食料自給率をとりあげたときのものです。「食料自給率が低いといわれても、輸入すればいいのだから何を騒ぐのかわからない」と思っている人は大人でも多いようです。でも、こちらの思惑通りにいつでも欲しいだけ輸入ができるものなのかを知っておく必要があると思います。
  小麦の日本の自給率は10%程度。国産の小麦しか手に入らないと仮定すると、うどん、パン、クッキーやケーキがめったに食べられなくなるだけではなく、小麦を原料とする醤油もほとんどなくなってしまいます。実際に、ここ2年ほど小麦の輸入先であるオーストラリアは干ばつに見舞われて不作、アメリカやカナダではガソリンに代わる燃料を作るために小麦からトウモロコシへと作物を変える農家が増えていることなどにより、日本では小麦の価格が上がっています。授業では、こうした現状を紹介しながら自給率の低さの意味について考えていきました。

 



▲第一回目の五感の授業の様子。-2・3-
 それにしても、子どもたちが真剣に受けとめて、想像以上にたくさんの意見を出してくれたことに驚かされました。実は、この2回の授業の中で伝えたいことが盛りだくさんで、内容も5年生には少し難しいのでは、という不安を持っていたのです。「5年生を侮るなかれ。」です。みんなの雰囲気の良さに助けられ、私たちも楽しい気分になって授業を行うことができました。

 食べものと世界のつながりを考えていくと、難しい問題もたくさんあります。が、あれもダメこれもダメと考えるのではなく、広い視野を持って考えていってくれたらいいな、と思います。授業の締めくくりとして、「これからもおいしく楽しい食事をするために、何ができると思いますか」という問いかけをしました。最後に、この問いに対する子供たちの答えを紹介します。

「好き嫌いをなくして、無駄をなくす」
「食べものを残さない」
「好きなものだけ食べない」
「電気を消すようにしたり、無駄をなくして、地球の温暖化がすすまないようにする」
「食べられない物はよくばらない。」
「のこしたり、かいすぎたりしないで食べ物をすてない。」
「フードリサイクルもっと広がるといいな〜!」
「地球のコトやごはんをたべられない人のことを考えていきたいと思いました。」

 追記
この小学校の5年生は3クラス。食の探偵団が1組で行った授業を、2組、3組には栄養職員の先生が行う、次は2組で食の探偵団が行い、先生が1組と3組に、というスタイルで全クラス同じ授業をしていただきました。

2008年01月 
副団長 田平恵美

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