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食育に科学とロマンを

その58:ねばりがつなげる夫婦愛

 
 

「去年は何も問題なかったのにぃ… コレステロールって急に上昇するもんなんですか?僕は大食漢ではないんですよ!」。
細身のAさんは、ご自分の健診結果に疑問と不満がたっぷり。今年40歳、この春から単身赴任中です。

「独り暮らしの開放感に喜んでいたのは2週間くらい。結構さみしいもんですよ、独りって。健康にいいよって妻が送ってきてくれたヨーグルトの菌で、毎日ヨーグルト作るのが楽しみかなぁ」。というAさんに、「ヨーグルトって発酵させるの難しくないですか」と伺うと、菌を入れて常温放置すればいいので、とても簡単だと仰います。どうやらそれはカスピ海ヨーグルトのようです。

カスピ海ヨーグルトは、一般的なヨーグルトに比べると酸味がおだやかで、独特の粘りが特徴のようです。また、通常のヨーグルトと違って、常温で発酵するので簡単につくることができるといいます。一般的なヨーグルトと同じく整腸作用があるほか、免疫強化作用もあるとされています。この免疫強化作用を調べる時に食べられていたヨーグルトの量は、調査によって異なりますが、1日100g〜150gですから、この程度の摂取量が通常量であると予測できます。

ところがAさんは、乳脂肪分4%以上という濃厚感たっぷりの牛乳で1日1リットル分を作り、その日のうちに食べ切ります。濃厚牛乳1リットルに含まれるコレステロールは約160mg。「コレステロールが高い場合のコレステロール摂取量は1日300mg以下」とされていますから、半分をヨーグルトから摂取してしまっては多すぎます。

もちろん、ヨーグルトそのものがコレステロールを高くするわけではありませんが、濃厚牛乳1リットル分のヨーグルトを毎日食べれば、コレステロールが高くなっても当然です。ちなみに、濃厚牛乳1日1リットル分のヨーグルトは約750Kcal。ラーメン1杯より多いエネルギーです。

今回の健診でAさんのコレステロールは高くなってしまいましたが、これまで通り毎日欠かさず召し上がっても、摂取量を調整すれば来年はもとに戻るでしょう。そしてカスピ海ヨーグルトが、離れている奥様とのかかわりをつなぎ、こころもからだも元気になりそうです。

土澤 明子 2010年6月

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