肉があたかも悪さをするように言われることがあります。栄養相談でも「肉は一切食べませんから」と自信満々におっしゃる方がおられます。肉に恨みがあるのかと思ってしまいます。しかし、この方が悪いわけではありません。多くの方が「肉より魚の方が体に良い」と思っているのですから、社会全体がそんなムードなのです。
けれども、肉はこころとからだをつくるために必要な栄養源なのです。肉に含まれるタンパク質からは、血や筋肉、皮膚などのからだの組織がつくられます。
一方、こころにも作用します。それは、体内でつくることができない、つまり食事から取らないと欠乏してしまうアミノ酸のひとつ「トリプトファン」の働きです。この「トリプトファン」は、神経の異常な興奮をおさえて、気持ちを落ち着かせる「セロトニン」をつくり出します。「トリプトファン」は動物性タンパク質に多く含まれているので、肉を食べないでいると「セロトニン」が減ると言われています。その他にも肉には魅力的な働きがあります。
食物の栄養素は単体では力を出せません。憎むことなく、もちつもたれつ助け合って初めてからだはつくられます。ですから、肉の働きを活かすには、野菜やきのこ、海草を一緒に食べることが大切です。