昔から「桜切るバカ、梅切らぬバカ」と言われるように、それぞれの特性をよく知らないと、思わぬことが起こります。それは植物だけでなく、子どもや食べものにも言えることです。
かわいらしい花が咲き、おいしい実をつける梅は、自分の身を守るため、核にアミグダリンという青酸配糖体の毒を持っています。未熟な実は、核が柔らかいため、簡単に噛み砕けてしまいます。梅のもつ特性を知らずか、未熟な実を口にした青酸事故が、かつては報告されていました。しかし、現在市販されている梅は、完熟に近いので心配いりません。なおかつ、梅酒や梅干しにすれば、1ヶ月ほどで毒性はなくなりますから、中毒にはなりませんのでご安心を。
さて、梅と聞くと梅干しが思い浮かび、その酸っぱいイメージに唾液が出てきます。この酸っぱさの正体は、疲労回復に欠かせないクエン酸です。クエン酸は、エネルギーづくりに欠かせない他、カルシウムの吸収率を高める働きもあります。持ち味いろいろの梅は、これからやってくる夏に欠かせない食材です。