中国陰陽五行説をもとにした食養生は、からだを冷やす「寒性」の食べものを「陰」とし、温める食べものを「陽」とします。さらに、「寒性」と「温性」を作用の程度により、五性という「寒・涼・平・温・熱」の5つの性質に分けます。五性のなかの寒と涼、熱と温は似たもの同士で、より寒性が強いものが寒、弱いものが涼となります。一方の熱と温も同じで、より温性の強いものが熱、弱いものが温です。
コリコリ固い砂肝は、キジ科の鳥が持つ胃袋の筋肉で、ほかの内臓のような臭みが少なく、食べやすいものです。この砂肝、食養生では「平」に分類されます。平性は、寒性でも陽性でもない、穏やかな性質の食べもので、頻繁に使われる穀類や芋類、豆類などに多くみられます。一説には、食べものの70%が平性だと言われています。
また、砂肝は鶏内金という漢方薬でもあります。胃液の分泌を促進したり、消化機能を調節したりする働きをもつので、胃・十二指腸潰瘍などの治療に使われます。まさに「医(薬)食同源」。砂肝に限らず、薬と食べものに、区別はないのです。